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Oleg Ferstein
オ−レ・フェアシュトゥン
ハイパーマニエリスト
舞台演劇家のフォトグラフィー
1/31/2019まで
モスクワ、ジュネーブ、ロンドン、バルセロナ、アムステルダムなど、ヨーロッパ各地の様々な劇場で30年の間、舞台演劇家として、また劇場ディレクター活躍してきたオ−レ・フェアシュトゥンにとって、いつしか「写真」が第二の天職となったという。
自らの作風をハイパー・マニエリスムと称するオ−レ・フェアシュトゥン。マニエリスムとはルネサンス後期の美術でイタリア語の「マニエラ(手法・様式)」に由来すると言われる。マニエリスム初期に活躍した画家パルミジャニーノの「長い首の聖母」はマニエリスムを代表する作品と言われるが、デフォルメされた官能美に溢れた人物やその人体構造、非現実的かつ幻視的な特異の様式が独自の世界観を生み出した。エル・グレコもマニエリスムといわれている。
オ−レ・フェアシュトゥンのFine Art Photography Awards 2018 (FAPA)のPhotomanupulation Category(編集写真部門)の1st Prize受賞作である"Resolve"は、パルミジャニーノの「凸面鏡の自画像」のオマージュのようにも見える。しかし、それは単なるデジタルカメラ写真とレタッチによる再解釈ではない。彼がハイパー・マニエリスムと称するように「ハイパー(超越)」している。その作品群はヒューマニズムに溢れている。被写体あるいは作品主題との関係は「我、それ」ではなく常に「我、汝」の関係にあるように見える。
生涯にわたり常に関心を置き続けてきた舞台演劇のもつ空間性、総合性、ドラマ性と、アイザック・ニュートンのような開かれた目で世界を捉え、既存の価値観から自由な「別の現実」を常に創造しようとする気質と情熱、そして芸術的才能によって創り出されるようにみえるその世界観に興味は尽きない。